課題を絞る
もし、車を運転しているとき、車が故障してしまったら、どうしますか?
問題に直面した時、その問題を解決するために、さまざまな方法が考えられます。
そのさまざまな方法の中から何を選ぶか、つまり重点課題をいかに絞るか。
その判断が経営トップに限らず、リーダーシップを発揮すべき人にとって、
すごく大切なキーになるのでははないかと、最近つくづく思うのです。
あれもこれもある解決策の中から、あれとこれに絞る、いや、これに絞る。
その「“何に絞り込むか”の判断をいかにするか」が、
リーダーとして試されることなのではないでしょうか?
この判断が「迅速かつ的確」にできるよになることが、
リーダーとしての資質を高めていくことだと思います。
豊臣秀吉の「中国大返し」。
備中高松城を水攻めにしているさなか本能寺の変が起こります。
秀吉は強行軍で京都にとって返し、明智光秀を討つわけです。
そのときに秀吉が絞り込んだ課題は、「いかに素早く京都の戦場に行くか」ということだったのです。
以下、司馬遼太郎の「新史太閤記(下巻)」からの抜粋です。
中国大返し
と秀吉がのちのちまで語り草にしたすさまじい強行軍が、このときはじまった。
人間が間断なく泥をはね、風が天に鳴り、ときにはげしく吹き巻いて軍旅にさからった。
―毛利は?
と、背後がたえず気がかりであった。逃げねばならぬ。
史上のいかなる敗軍の例よりも迅速に、迅速な逃げあしでこの場から離れ去らねばならぬ。
かつ一面では一刻も早く京の光秀と対戦しなければならなかった。
光秀の戦闘準備がととのわぬうちに秀吉は京の戦場にあらわれねばならない。
(速さこそ、勝利だ)
と秀吉はこの一点に自分の行動の主題をひきしぼった。
「新史太閤記(下巻)P117」より
瞬時に、この判断ができるように精進していきたいと思います。