渡辺直美さんのオリンピッグについて考える
今回のメルマガのネタは、
少々センシティブな内容です。
ひょっとすると私の考えが正しく伝わらず、
誤解を招いてしまう恐れもあります。
が、
「会議の活性化だ!」、
「ファシリテーションだ!」と、
言っている立場からは書かなければならない、
誤解されるのも覚悟で書かなければならない、
そんな想いでお伝えさせていただきます。
先日(3月17日)、
東京オリンピック・パラリンピックの
クリエイティブディレクターを務めていた
佐々木宏氏が辞任しました。
理由は、あなたもご存知の通り、
オリンピックの開会式の演出として、
タレントの渡辺直美さんに豚(ピッグ)の
格好をさせようというアイデアを出していたことが
暴露されたことによります。
佐々木氏がこのアイデアを出したのは、
一部報道によれば、
アイデア出し会議の場とのこと。
リアルな対面ではなく、
SNSのLINEを使ったアイデア出し会議。
対面での会議での発言であれば、
今回のように表沙汰にされ、
辞任に追い込まれることも
なかったかもしれません。
ちなみに、具体的にどんな発信だったかというと、
「豚=渡辺直美への変身部分。
どう可愛く見せるか。オリンピッグ」
という内容だったようです。
このアイデアはその場でボツになっています。
もちろん、体形に限らず、
人を揶揄するようなアイデアを出すのは、
たとえアイデア出し会議の場であっても、
許されることではありません。
ただ、佐々木氏を弁護するようですが、
断言してもいいです、
佐々木氏は自分のこのアイデアが採用させるなんて
1㎜も思ってはいなかったでしょう。
しかも、人を馬鹿にする気も
なかったのではないかと思うのです。
なぜなら、佐々木氏のようなクリエイティブな
仕事をしている人は、
今までにない斬新なアイデアを出すためには、
「バカなアイデア」が必要だということを
十分知っているからです。
斬新で面白く、かつ実用的なアイデアというのは、
突拍子もないバカなアイデアと
ごくごく普通のアイデアとの間から生まれるのです。
普通の当たり障りのないアイデアばかり出していては、
面白いアイデアなど生まれません。
特にクリエイティブな仕事をしている人は、
それを実践したがります。
私が知っている放送作家の人も、
常にバカなアイデアを出して、
それをきっかけにしながら、
最終的なアイデアを考えていくプロセスを
踏んでいました。
あなたのチームでは、会議やミーティングで、
斬新なアイデア、面白いアイデアが、
どんどん出せていますでしょうか。
もしも、
「なかなか斬新な面白いアイデアは出せてない」
「普通の当り障りのないアイデアしか出せていない」
ということでしたら、この観点が
抜けている可能性があります。
バカなアイデアを
たくさん出そうとする観点。
アイデア出し会議の場では、
一度、思いっきりバカなアイデアを出す。
そのうえで、出したアイデアに、
お互いが「それはないわぁ」と突っ込みを入れつつ、
「それはさすがに無理だけど、
こんなことならできるんじゃない?」
と実現できるアイデアに振り戻す。
これが斬新で面白く、かつ実用的なアイデアを
出す方法なのです。
佐々木氏の発言をアイデア会議の場で拾うとしたら、
こんな感じでしょうか?
佐々木氏:「渡辺直美でオリンピッグだ」
メンバー:「佐々木さん、面白い!
さすがにそれは無理ですけど、
“カワイイ”“動物”というのは
使えるかもしれませんね」
メンバー:「渡辺直美さんと言えばダンスでしょう。
動物とダンスの要素を
盛り込んでみてはどうでしょう?」
佐々木氏:「例えば、どんな感じ?」
バカなアイデア、ふざけたアイデアを
否定することなく、そこから発想を広げる。
これは、発想法として否定されるものではありません。
様々な制約条件の中で長年仕事を
行ってきた人にとっては、
どうしても、制約条件が先立ってしまい、
面白い発想が浮かばないことが多かったりします。
先入観や常識、固定概念、論理、タブーなど
様々な制約条件が斬新な発想を邪魔してしまいます。
面白いアイデアを創出したければ、
「バカの振れ幅を大きくする」、
これを意識してみてください。
ただし、
人を揶揄する“バカなアイデア”はご法度、
ということですね。
追伸:
今回のネタとは全然関係ありませんが、
柔道家の古賀俊彦さんが亡くなられました。
53歳の若さです。
一度だけ実際の古賀俊彦さんの
講演を聞いたことがあるのですが、
「こんなに立ち姿が凛々しく、
美しい人は見たことがない」
と感じたのを覚えています。
背筋が伸びて、本当に凛々しさと
美しさを感じました。
テレビで拝見する限り、
人間的にも素晴らしい方だったと思います。
心からご冥福をお祈りします。