人はストーリー(物語)に魅かれて財布を開く
2010年6月22日「ワールドビジネスサテライト」より
サントリーが新たに販売を始めた「畑のこだわり」という商品をご存知でしょうか?
サントリーと農家が共同開発した「こだわりジュース」です。
「こだわりジュース」らしくネットでしか手に入らず、
また数量も限定となっています。
Webサイトを見ると、
「こだわりにこだわって、通販限定約8,500セットのご提供です」
との一文が。
この商品、マーケティング的な観点からも非常に魅力的というか、示唆に富んでいる商品です。
どんな点で示唆に富んでいるのか?
この商品を開発するまでの「ストーリー(物語)性」を伝えているという点です。
「こんな商品を作りたい」と思ったというサントリー社員の想い、
それを実現しようとして全国行脚した経緯、
農家の人たちの栽培方法へのこだわり、
などなど・・・。
こんなことがストーリーとして伝えられています。
このストーリーこそが、消費者の共感を呼び、
商品の価値への納得感につながるのではないでしょうか?
『ここまで苦労して、よく作ったねぇ、がんばったなぁ~』
『なるほど、ここまでこだわったのであれば、この値段にしないと
農家の人にも失礼だよな・・・』という。
共感と納得感があれば、購入もしやすくなるでしょう。
ただ、個人的には、「もっと苦労話や挫折しそうになった話」などを
盛り込んでもよかったんじゃないかなと思います。
HPを見ても、意外にあっさり書いてあります。
デフレの中で、農家は買い叩かれ、低価格でしか販売できない。
このままでは農家はやっていけない。
高齢化もあいまって、みかん畑も荒廃しつつある。
農家の人たちが、本当に心を込めて作ったみかんを
最高のジュースにして、消費者に満足してもらい、
農家の人たちにもやりがいを感じてもらえるようにしたい。
農家の人たちに、もっと安定した収入を得られるようになってもらいたい。
はじめは、最高のジュースをつくりたい、という思いから始まったが、
次第に、農家の人たちの窮状を知るにつれ、そんな思いが高まっていった。
しかし、何度作っても、理想の味を出せない。
農家の人たちが納得するジュースができない。
・・・。
というような。
うそは書いてはいけませんが、もう少しそんな話を入れるともっと
共感を呼ぶストーリー(物語)になった気がします。
ちなみに、ワールドビジネスサテライトでは、
そのあたりの苦労話を少し取り上げていたんですけどね。